高級外車を何台も持つ彼は
わずか20歳だった。
ユーゴ物語 -ビジネス編-
『20歳の師匠に教わったお金の稼ぎ方』
これから語るのは起業直後の
ノンフィクション物語です。
ユーゴ物語 -ビジネス編-
[第1話]夢を諦めての起業
[第2話]ホームページの作り方がわからない ←いまここ
[第3話]ビジネスに目覚めた日
[第4話]ビジネスで遊ぶ感覚
第2話「ホームページの作り方がわからない」
「ほぇー!ぜひお願いします!」
「わかりました、お任せください!」
社会経験もロクに無い19歳が
出だしだけでもハッタリかまそうと思ったら
その一発だけで決まってしまった。
そして常務から想像もしない言葉が。
「あとは待っていたらホームページが完成するんですかね?」
(そんなわけありません)
しかし企業のホームページを作ったことがない俺は
ここからどう進めたら良いかわからず焦っていた。
俺「そ、それも良いんですが、せっかくなので要望を聴いてみたいですね」
常「・・・・要望ですか」
俺「ホームページにどんなことを載せたいですか?」
常「ほ、他の企業はどんなことを載せてますか?」
俺「ほ、他の企業ですか!?」
(もちろん初仕事とは言えません)
頼む方も請ける方も、誰もわからずグダグダだった。
俺「ホームページは企業の顔ですから、何を見せたいかで考えましょう」
常「なるほど!」
苦し紛れの機転が功を奏し
企業パンフレットの情報を載せることになった。
常務「これで我が社もワールドワイド化か!」
専務「海外から問い合わせが来たらどうしよう!誰か英語できる?」
ジョークではなく当時は本当にこんなイメージでした。
俺だけが心の中で「絶対ねーよ・・・」と思っていました。
【ビジネス素人同士のさぐり合い】
1週間後、パンフレットのWeb版が完成した。
代表挨拶・会社概要・商品説明・問い合わせ
シンプルにこれだけだった。
常務「おお!本当にインターネットからアクセスできるぞ!」
専務「これで我が社もグローバル企業か!」
俺「・・・・・。」
そして常務から想像もしない言葉が。
「これってお代はいくらでしょうか」
そうだ、金額を決めてなかった!
(フツウは企業側も依頼する前に確認するはずなのにね)
社会人経験もロクにない19歳。
この時もどうしていいか分からなかった。
目が泳ぎ背中に冷たいものが流れる。
そしてある答えが「チーン」と閃いた。
『適当な金額を言って、相手の交渉に合わせよう』
俺「さ・・・30とか」
常「30ですか!」
俺「(あれ?高すぎたかな)相場もピンキリですけどね」
常「ふーむ、そうなんですか・・・じゃあそれで」
決まっちゃったよ!
いろいろツッコミどころが多いこの件。
19歳のハッタリ小僧はともかく、この会社もどうかと。
とはいえ、沢山の経験値を頂いたことに感謝しています。
調子に乗ったユーゴは最後のハッタリをかましたのです。
「今回だいぶ安くした替わりに、知り合いの社長さんを紹介してもらえませんか?」
こうしてリレー方式で次々と仕事を取っていくことができ
1ヶ月に3件、月収100万円をキープするようになりました。
しかしハッタリもそうは続きませんでした。
「ちょっと!どうなってるのよ!」
【詐欺?ホームページで成果が上がらない】
携帯の向こうで怒鳴っているのは
一番最初の30万の常務だった。
常「ちょっと!こんなの聞いてないよ!」
オフィスに赴いてじっくり話を伺うと
言いたいことは2つだった。
・海外からの問い合わせが1件も来ない
・アクセスが毎日1件しかない
後ろめたい気持ちを抱えつつ
当たり前のことを説明する19歳営業マン。
「もし万が一、海外からアクセスがあったとしても…全部日本語です」
「毎日1件のアクセスって…チェックした常務自身のアクセスです」
さらにヒートアップする常務。
「ホームページを作ったら、誰かが見に来るんじゃないの?」
冷静に説明をする19歳。
「印刷物と同じで、作ったあとに配らなきゃ見てもらえないです」
「逆に常務、他の企業のホームページってどうやって知って見に行きました?」
50前のおじさんに淡々と説明しながら
自分自身でも薄々感じていた疑問が確信となった。
『ホームページって価値があるのかな?』
当時は『顔や名前を載せるだけで狙われる』という
根拠の無い情報を全員が信じていた時代。
ネット通販どころか、ネットマーケティングの概念もなく
誰もが手探りで可能性を信じて進んでいた頃。
商品に胸を張れず、罪悪感を持った営業マンは
一気に売れなくなるのは当然です。
とはいえお金が必要。
気持ちにフタをしつつ売る日々。
「これで我が社もグローバル企業か!」
はしゃぐ相手に何も言えず、黙っているのは辛かった。
【母親から驚きの告白】
望まずとも上手くいき
家計を支えるようになってしまった。
良かれと思って毎月100万円を持ち帰る。
この金額も良くなかった。
バブルの頃も手にしたことがない金額を
ある日、突然息子が稼いで来た。
そんな自分は再就職すら目処が立たない。
父の面目丸つぶれである。
家から居場所を奪ってしまい、食事以外は書斎から出てこなくなってしまった。
「どうしたら良かったんだろう」
「俺だって稼ぎたくなんて無かったのに!」
苛立ちと悔しさと、そして罪悪感。
さらに今後の稼ぎへの焦り。
でも立ち止まっているわけにはいかない。
今日も営業に行こうとすると母に呼び止められた。
「ちょっと話があるの」
叱られる。
でも、どこかでそれを願っていたのかもしれない。
重い空気のリビングで、母がゆっくり口を開いた。
「お母さんね、夢があるの」
え?
「お父さんと、お母さんと、あなたの3人で会社がやりたいの」
「ほら、お父さん今あんなだし。あなたも仕事うまく行ってるみたいだし」
思ってたのと違う驚きと
突然言われた母の夢。
しばらくパニックで頭がフリーズしていた。
どうやら、自分の人生にとっても
大きな分岐点だということは確かだ。
でも何も考えられなかった。
次回予告
母の告白にユーゴの出した答えは?
そして師匠はいつになったら登場するんだ。
コメント
Comments are closed.