ビジネス編

[B第1話]夢を諦めての起業

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高級外車を何台も持つ彼は
わずか20歳だった。

ユーゴ物語 -ビジネス編-
『20歳の師匠に教わったお金の稼ぎ方』

これから語るのは起業直後の
ノンフィクション物語です。


ユーゴ物語 -ビジネス編-
[第1話]夢を諦めての起業 ←いまここ
[第2話]ホームページの作り方がわからない
[第3話]ビジネスに目覚めた日
[第4話]ビジネスで遊ぶ感覚


 

第1話「夢を諦めての起業」

初めて起業したのは19歳だった。
よくある成功者の話とは違って
イヤイヤ、仕方なく起業した。

「お父さんね、とうとう仕事たたむって」
「これまで学費、なんとかしてきたけど、ムリかも。」

普通なら「なんだってー!」という反応かもしれないけど
俺は「そうか、とうとうその時期か」という心境だった。
いつかこの時が来るとわかっていた。

家計が厳しい状態なのはわかっていた。
月末になると、恒例のもやし炒めが食卓に登場する。

できれば、卒業までにはなんとか。
それだけを考えていた。いや、それ以外は考えたくなかった。

その頃、俺は専門学校に通っていた。
CG学科。コンピューターグラフィックスを仕事にしたかった。
子供の頃からずっとの夢だった。

…ここで終わりか。

 

【NOと言えない複雑な想い】

「お姉ちゃんだけは大学を卒業させてあげたいのよ」
「だから・・・お願い」
頑張り屋の母が頼ってくるのは珍しかった。

自分は夢を諦めて中退。
姉は卒業させてあげたい?
胸中は複雑だった。

母のパートと、自分の稼ぎ。
それで家計と学費を出すには大変だ。

兵庫県の片田舎。
就職しようと思っても、手取りはせいぜい14万円。
とうてい間に合わない。

手元には専門学校の定期券。
兵庫県から大阪までなので
半年となると結構な額だ。

「これをお金に変えられないかな」

・・・専門学校、もしかして。
入学式でしか着なかったスーツを引っ張り出し
電車に飛び乗り学校に向かった。

専門学校の入り口には『バイト募集』の張り紙がいくつも貼ってある。

これは学生課が近隣の企業に要望を聞いて作成しているが
一般求人誌のほうがだいぶマシだ。
インターンのつもりなのか、金額が安すぎる。

その中に1つ、異質なものがあったのを覚えている。
『弊社のHP制作業務・常駐・時間は要相談』

当時はISDNとかウインドウズ98の頃で、Web制作会社なんて存在しない時期。
Webを作りたくてもどこに頼んでいいかわからない時代だった。

学生は独学で自分のホームページを持っている人は多かったが
企業のホームページを作れと言われたら当然怖気づく。

俺は勇気を振り絞ってみた。
とは言っても学生課には申し出ず、募集している会社名を暗記した。

今では殆ど見かけなくなった電話ボックスに入りタウンページを調べる。
「○△商事・・・あった」今ならネット検索だろうが、当時ではまだ引っかからない。

住所を調べ、その会社の扉の前に立つ。
雑居ビルの1フロア。
せいぜい10名足らずくらいだろうか。

薄い扉の向こうには数人の気配がする。
既に緊張で喉はカラカラだった。

 

【生きるか死ぬかだと勇気は必要ない】

その時、もやし炒めが脳裏に浮かんだ。

もう後が無い。
生きるか死ぬかの状況だ。

気分はヤリ手の営業マン!
別人になりきれば怖さなんて感じなくてすむ。

クッと目尻を上げ、その会社の扉を叩く。

「すみません、ホームページの担当の方、いらっしゃいますか?」
「えっ!ホームページですか!?」
受付のお姉ちゃんの声が裏返っている。よっぽど驚いたようだ。

「ちょ、ちょっとお待ち下さい・・・」
「常務ー!ウチってホームページってありましたっけー?」
遠くでお姉ちゃんの叫び声が聞こえる(笑)

しばらくすると常務らしき男性が現れて、こう言う。
「すみません、ウチはホームページを持っていなくて・・・」
何故か謝ってくる。

「大丈夫です、私はホームページを作れるので、良かったら作りましょうか?」
「えっ!・・・話を聞かせて下さい」

応接室に通されて、さっきの受付のお姉ちゃんがお茶を持ってきた。
心なしか手が震えているように見える。

常務が口を開く
「ホ、ホームページを作ってもらえるんですか?」

アポなし営業マンにこの態度である。
今となっては信じられないが
当時は大企業すら持ってない最先端(笑)である。

「はい。専門学校で学び、コンテストで賞を取ったこともあります」
「そろそろコンテスト荒らしは辞めて、企業さんに提供したいなと思って…」

モノは言いよう。
コンテストで賞を取ったのは本当。
しかしたった1回である。

「ほぇー!ぜひお願いします!」
「わかりました、お任せください!」

まさか決まってしまった。
自分でもビックリである。

社会経験もロクに無い19歳が
出だしだけでもハッタリかまそうと思ったら
その一発だけで決まってしまった。

 

【コンテストで賞を取ったカラクリ】

コンテストで賞を取ったのは本当だ。
専門学校である宿題が出た。

「なんらかのコンテストに応募しましょう」
いま思うと、なんとざっくり丸投げな宿題。

デザイン系・アート系の雑誌には
少なくともコンテストの募集はある。
しかしプロも応募するので到底勝ち目は無い。

応募までが宿題だけど、勝ち目のない勝負は萎える。

「できるだけマイナーなコンテストに応募しよう」
「応募者が数人レベルのシケたやつ」
「マイナーでも賞は賞だから、就職に有利になるはず!」

そう思って見つけたのが
新潟あたりのホームページコンテスト。

「ITに力を入れてますよ!」的な感じで
市が予算を組んで開催しているものだった。

驚いたのが選考基準。
1メールアドレスで1投票という投票制だった。

マイナーかつ投票制ということは、優勝すら票数が少ない。
しかも身内票のグダグダ。
次からは見直されるのが目に見える。

「これは二度と無いチャンス!」

俺は悪いことを企んでいた。

当時は盛んだったYahooチャット。
見知らぬ人と文字で会話ができる仕組みだ。

そこで俺は毎晩のように営業行為に勤しんだ。

俺「はじめましてー、ちょっと見て欲しいものがあるんだけど」
俺「コンテストで良いと思った作品に投票して欲しいんだ」
相「そうなんだー、俺さんは主催の人?」

俺「ううん応募者。コンテストを盛り上げたくてね」
相「偉いねー、じゃあ俺さんに投票してあげるね」

ちまちまと1票ずつ積み上げて300票近くが集まっていた。
途中経過で2位が30票。ダントツの1位だった。

やりすぎたかな、これくらいで止めておこう。

・・・後日、結果が発表された。
2位が追い上げたとしても1位は間違いないだろう。

結果発表のページを開くと

1位 ○○小学校ホームページ 364票
2位 ユーゴのホームページ 302票
3位 ほにゃららホームページ 31票

絶句した。

ちなみに1位の小学校のホームページを見てみると
在校生364人。

ガチガチの身内票じゃねーか!!
(もちろん自分のことは棚にあげて言う)

最優秀賞は逃したものの、優秀賞を手にできた。
しかも副賞はデスクトップパソコン。

速攻で売ってお金に変えた。

 

次回予告

ハッタリで常務から受注したホームページ。
しかし社会経験の無い19歳のユーゴは大きく悩む。

第2話「ホームページの作り方がわからない」

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