高級外車を何台も持つ彼は
わずか20歳だった。
ユーゴ物語 -ビジネス編-
『20歳の師匠に教わったお金の稼ぎ方』
これから語るのは起業直後の
ノンフィクション物語です。
ユーゴ物語 -ビジネス編-
[第1話]夢を諦めての起業
[第2話]ホームページの作り方がわからない
[第3話]ビジネスに目覚めた日
[第4話]ビジネスで遊ぶ感覚 ←いまここ
第4話「ビジネスで遊ぶ感覚」
タツヤは新しい話があると誘ってくれる
「ヨドバシカメラの福袋に並びましょう!」
もちろん転売するんだろ?
「もちろんです!でも袋ごとだと利益少ないので1品ごとに売りましょう」
まだ少し抵抗があるが
誰も損をしないなら楽しんで良いというルールにしてみた。
すると気付けるレベルも大きくなってくる。
並んでる間はヒマなので彼を質問攻めにする。
少しでも吸収して経験値を増やしてやる。
「こないだペプシのボトルキャップをコンプリートしました!」
ペットボトルにオマケでついてくるキャラクターだ。
全○種類みたいな感じでCMをやっていたのを思い出した。
こういうところはフツウの大学生だなと思う。
「とは言ってもコンビニでは買わないですよ?高いですから」
「問屋で箱で買うんです。ペプシ1箱です。」
「全種類ゲットできるでしょ?1つは自分用。あとは売る用」
「全種類セットだと高く買う人いるんですよ、面倒なんですかね?」
前言撤回、やっぱりフツウの大学生じゃない。
全種類ゲットは良いとして、大量のペプシはどうするの?
「大学の入口で売るんですよ、1本50円で」
「セットが売れてるんで充分利益が残ります」
絶句。
なんだか変な感情が湧き上がる。
彼のポリシー通り、ホントに誰も損をしていない。
問屋も、全種類セットを買う人も、ペプシを買う大学生も
もっと言えばペプシ社も損をしていない。
思わず笑ってしまった。
そう言えば、高級外車、また違う車だったよね。
さすがにアレは親に買ってもらったの?
「まさか!親はケチなんで自分で買いましたよ!」
ちょっと殺意が沸いた。
【高級外車を自分で買う大学生】
いったい何台持ってるの?
「常時2台ですかね、0台のときもあります」
詳しく。
俺も慣れてきたのでこの一言で済む。
「やっぱり新車が発売されると欲しくなるじゃないですか」
「他にも欲しいものいっぱいあって、いくらあっても足りない」
「だから新車を買って、一通り楽しんだらすぐ売るんです」
最新のうちに?
「多少は赤字ですけど、ほぼ新車!って言えば高く売れます」
「それでも欲しいものだらけなので、いくらあっても足りないです」
・・・・。
彼は儲けたくてやっているんじゃなかった。
新しいモノが好きすぎて
そのための資金稼ぎに、小銭稼ぎをしている。
(俺からすると小銭じゃないけど)
「もちろん稼ぐのも好きですよ」
「あーでもどうかなー?」
「お金も時間も足りないので、欲しいもので稼ぐことにしました」
なんだか清々しい気持ちになった。
自分がいかにドロドロ稼いできたのか恥ずかしい気持ちだ。
彼は純粋に遊んでいるんだ。
商売という感じではなく、ビジネスで遊んでいる。
この感覚・気持ち・しっかり肌で感じよう。
深く刻み込んで忘れないようにしよう。
【その行動力はどこから?】
タツヤをすっかり尊敬した俺は
彼がどんな風に世の中を見ているのか知りたくなった。
何に注目して、何に気づいて、何を調べるのか。
どんなプロセスで、利益を出す手口を思いつくのか。
収入が厳しいとき以外はできるだけ彼と行動を共にした。
MP3プレーヤーって話題だよね。
彼が好きそうな話題をあえて振ってみる。
「どこ行っても品切れですよね」
やっぱりタツヤでも手に入らないんだ?
「いえ、当然持ってますよ」
詳しく(笑)
「あれって品薄戦略なんです、倉庫に山ほどありますよ」
「人気で手に入らないってなると人って欲しくなるでしょ?」
「実は自分も問屋になって仕入れてます」
は?いまなんて言った?
問屋から仕入れたじゃなく、問屋になった?
「はい、好きすぎて(笑)」
「欲しいものを発売日前に安く欲しいじゃないですか!」
クレージーすぎる。
早く欲しい!安く欲しい!お金は減らしたくない!
確かにそれを叶えようと思ったら、発想に出なくはないけど
実際に行動に出ちゃうんだね。
その行動力はどこから来るの?
失敗したらとか怖さとかないの?
「そりゃ怖いですよー、何度も損しました」
「でも欲しくてウズウズするんです(笑)」
「ガマンも行動の1種だと思うんです」
「私からすると、よくみんなそんなに行動(ガマン)できるなーって思います」
タツヤ違うよ。
みんな失敗イメージをして、踏みとどまっちゃうんだよ。
「私だって妄想で失敗しまくりですよー!」
「失敗、でも欲しい、失敗、でもやっぱり欲しい!」
「頭の中はずっと妄想が駆け巡ってます」
「暇さえあれば、どうしたら手に入るんだ?って妄想してます」
そうか、妄想も行動。ガマンも行動。
彼は確かに手も出してるけど、妄想もしてるんだ。
「だって好きですもの」
「雑誌も、街も、誘惑だらけです」
「ウズウズが止まりません」
こんなにも自分の欲望を押し通してもいいのか。
ワガママ・エゴってダメだと思ってたけど
成功モデルが居てくれると勇気になる。
【彼はオタクちゃん】
「今日は徹夜でフラフラです」
バイト先でタツヤが眠そうに言った。
また並んでた?俺も誘って欲しかったな。
「いえいえ!家でプラモ作ってました」
意外!家電や車だけだと思ったら。
「ホビージャパンって雑誌があるんですけど」
「あの表紙写真に使うプラモを頼まれて…」
は?(笑)
斜め上すぎて「詳しく」が言えなかった。
「最初は普通に素人だったんですよ?」
「雑誌で読者投稿のページがあって、自作プラモを自慢するんです」
「みんな上手くて悔しかったんですよ!」
うん、そこまでは普通だと思う。
「だから常連投稿者に連絡とって教わったんです」
「どんどん上達してきて楽しかったです!」
おおぅ、ウズウズ行動力。
「自分も常連投稿になってよく賞をもらいました」
「するとある日、雑誌社から依頼されたんですよ」
「こんなことあるんですねー」
「確かにプロに頼むより常連の方が安いですもんね」
「喜んでやりましたよ!ギャラ安かったですけど」
彼のことを誤解していたかもしれない。
彼は最初からすごかったわけじゃない。
最初は普通の少年で、普通のスキルだったんだ。
ただ、思い切った行動を取ってそこが分岐点になっている。
そう思うと、俺も、そして誰だって
スキルを上げて、人生を変えて
欲しいものを手にできるようになるってことだ。
彼の子供時代はどうだったんだろう。
そこも聞いてみよう。
次回予告
タツヤは純粋に『欲しいものが欲しい奴』だった。
とはいってもいきなりクレイジーになったわけではない
徐々に大胆に、徐々に経験値が溜まっていったのだろう。
その原体験となる幼少の話を聞いてみた。
第5話「数百円を稼ぐ小学生」
コメント
Comments are closed.